「ノイズ」 1999年/アメリカ/1時間49分
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 久し振りに、SFホラー映画を鑑賞させていただきました。SFホラー映画といえば、過去に、「スピーシーズ」「イベント・ホライゾン」「エイリアン4」「スフィア」「ヴァイラス」の5作品を、鑑賞させていただきました。何れも、その発想に、工夫やアイデアを凝らし、他の作品の真似者にならないよう、気を配られていました。

 SFホラーは、エイリアンなどの異性人を登場させるパターンと、抽象的なものを題材にしたパターンの2つに分けられます。前者は、「スピーシーズ」「エイリアン4」「ヴァイラス」。後者には、「イベント・ホライゾン」「スフィア」。今作「ノイズ」は、どちらかというと、「スピーシーズ」の系統に良く似ている作品といえるでしょう。「スピーシーズ」は、宇宙の遥か彼方から届いた電波より、地球上にエイリアンを誕生させます。今作「ノイズ」は、邦題どおり(原題は、「ジ・アストロノーツ・ワイフ」、訳すと「宇宙飛行士の妻」)、ノイズ(雑音)と深い関わりがあります。

 本作品の最大の謎は、「空白の2分間」にあります。それは、宇宙飛行士スペンサー・アマコスト(ジョニー・デップ)が、地上から200qの宇宙空間で、船外作業をおこなっていたときのこと。そのときに、「あれは何だ?」という言葉を最後に、突然、交信を絶ったのです。その時間が、2分間。この2分間に、物語の真実が隠されているのです。

 何とか、その事故から生還したスペンサーは、NASAの宇宙飛行士から、民間企業のロケット開発の仕事に、転職します。この頃から、彼の妻である、ジリアン(シャーリズ・セロン)は、夫の異変を感じ始めます。ただ、鑑賞している私には、元々、夫はどういう性格の人物であったのか、良く知らされていない為、彼の性格の変化を、上手く掴み取れませんでした。もう少し、事件の前の彼の描写を必要としたのではないか、と思うのです。

 しかし、この作品の後に、「スリーピー・ホロウ」を鑑賞しているだけに、ジョニー・デップの演技力には、本当に関心させられます。「ノイズ」での彼は、クールで、潜在的な恐怖による威圧感というイメージを巧みに表現し、「スリーピー・ホロウ」では、少し小心者っぽさを見せつつも、誰よりも、勇気のある捜査官という、まったく異なった演技を、見事にこなしているのです。ただ、「ノイズ」における、「空白の2分間」の事故の前と後での変貌を、もう少し分かりやすく表現できれば、より良かったと感じました。

 最後に、この物語の最大の謎とされる「空白の2分間」は、作品中では、なかなかその真実は明らかにされず、鑑賞している私は、少しずつイライラする気持ちが込み上げてきました。「そこまで、もったいぶらなくても…」というのが、本音です。この作品の一番の謎なのですから、そうなるのも当然だとは思いますが…。そして、映画は、「バタリアン」や「スピーシーズ」のような結末で幕を閉じます。果たして、この終わり方だと、続編は作られるのでしょうか…?

監督
 ランド・ラビッチ

キャスト
 ジョニー・デップ  スペンサー・アマコスト
 シャーリズ・セロン ジリアン・アマコスト
 ジョー・モートン  シャーマン・リース
 クレア・デュバル  ナン

参考
 ・株式会社インプレス MOVIE Watch
 ・「ノイズ」公式サイト
 ・「ノイズ」パンフレット