「シックス・センス」 1999年/アメリカ/1時間47分
自己評価ランキング A−

《ストーリー》
 この映画のストーリーには“ある秘密”があります。映画をご覧になった皆様は、その秘密をまだご覧になっていない方には、決してお話しにならないようお願いします。

 ブルース・ウィリス
 M. ナイト・シャラマン

 手抜きなストーリーだと思われても仕方のないことだろう。これは、映画上映開始前の字幕を、そのまま書き写したものである。しかし、この映画を鑑賞した人ならば、ストーリーを紹介できない理由について、理解を示してくれることだろう。“ある秘密”に触れることは、一切、あってはならないのである。こればかりは、ご了解いただきたい。実際、この映画をご覧になった人であれば、ブルース・ウィリスにお願いされるまでもなく、“ある秘密”を守ろうという気持ちになるだろう。

 「シックス・センス」とは、日本語で「第六感」を意味する。本来、人間には、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の5つの感覚を持ち合わせている。「第六感」は、この何れにも属さない。「第六感」は、「鋭く物事の本質をつかむ心の働き」と、広辞苑には載っている。しかし、本作品の意味する「シックス・センス」を、ずばり言い当てているとは思えない。…そうかといって、「勘」という言葉も相応しくない。ただ言えるのは、本作品の意味する「第六感」を含めて、科学的には証明することのできない感覚であるということについては、何れも一致するということだ。

 実際に、この映画を鑑賞して思ったのは、「これは、ホラーではない」ということだ。確かに、小心者の私にとって、今作は至るところでびびった。…であるにも関わらず、見終わった後、恐怖心よりも、せつなさに心のウエイトを占められていると、自分でもはっきりと分かった。不思議な感覚である。

 そして、もう一つ感じたのは、もう1度、最初から通して、作品を鑑賞しなおしたい、ということである。「シックス・センス」は、「マトリックス」以上に、リピーターの多い作品となったのも、素直に頷ける。「“ある秘密”を知らずに鑑賞する楽しみ」だけでなく、「“ある秘密”を知った上で鑑賞する楽しみ」が、この作品には存在するからである。映画を見終わった後、まず、真っ先に回想に入る。そこで、数々のシーンを思い巡らせて、「あそこは、そういうことだったんだ!」と、納得しはじめる。…でも、いくつかの矛盾も感じてくる。しかし、それは、もう1度、この映画を観ることによって、解決できる謎なのである。今作のストーリー構成は、素晴らしく巧みである。大方、予想できる矛盾点は、全て説明がつくようになっている。この映画ほど、観終わった後も、一人、思いに耽ったり、余韻にひたることのできる作品は、珍しい。

 今作では、ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメントのどちらも主演として、私は位置づけている。特に、ハーレイ・ジョエル・オスメントは、ブルース・ウィリス自身、彼との共演にプレッシャーを感じたと認めるほど、10歳の少年の演技力に、感心を示している。監督のM. ナイト・シャラマンも、大変な逸材に巡り合えたことに、興奮したぐらいである。そして何より、彼の謙虚な姿勢も、好印象を与える要因の一つになっている。今作の来日記者会見では、いつもはハチャメチャな行動をおこして場内を沸かすウィリスも、オスメントに影響されてか、とても落ち着いていた。そして、しきりに彼を褒めていた。オスメントに対する人気は急上昇で、一部では、アカデミー賞最年少ノミネートとも囁かれている。現実的には難しいかもしれないが、オスメントの演技力を見れば、その可能性を否定できないだけのものがある。最近、第二次世界大戦を描いた「I’ll Remember April」の撮影を終えたばかりのオスメントは、将来有望な俳優の一人としての地位を固めたことは言うまでもないだろう。

 最後に、ダイアリーでは、自己評価ランキングを「B+」としていたが、鑑賞して幾日も経った今も尚、この作品に対する関心は、減少するどころか、むしろ、もう1度、鑑賞する機会はないものかと思いを馳せていることから、異例ではあるが、「A−」に修正することにした。

監督
 M. ナイト・シャラマン

キャスト
 ブルース・ウィリス       マルコム・クロウ
 ハーレイ・ジョエル・オスメント コール・シアー
 トニ・コレット         リン・シアー
 オリビア・ウィリアムス     アンナ・クロウ

参考
 ・株式会社インプレス MOVIE Watch
 ・「シックス・センス」公式サイト
 ・「シックス・センス」パンフレット