「インターネット『超』活用法」 野口悠紀雄:著 講談社

 野口悠紀雄さんは、「『超』整理法」以来のファンである。そうかといって、彼の本なら、必ず購入するというわけでもないが、店頭でパラパラと目を通すぐらいのことはしている。今回も、そのつもりで、本を手に取り、立ち読みしていたところ、その内容にとても共感したので、早速、買うことを決めた。

 本書は、2つに構成されている。1つは、インターネットに関する最近の状況について、もう1つは、インターネット情報源と題したもので、特に有用な情報を発信するウェブサイトの紹介をおこなったものである。

 私は、1998年12月に、2代目のパソコンを購入して以来、インターネットに病みつきになっている。特に、インターネットをはじめて感じたことは、「インターネットは、リアルタイムな大事典である」ということだ。例えば、今では誰もが知っている「ポリフェノール」を、当時、騒がれる前に、インターネットを使って検索したことがある。インターネットで検索する前は、広辞苑などで調べてみたこともあった。しかし、日本を代表する辞典にすら、「ポリフェノール」のことは、何も書かれていない。ところが、インターネットの検索エンジンに「ポリフェノール」とキーを叩いて、検索してみたところ、ポリフェノールのことを、事細かく説明したページを見つけることが出来た。このように、分からない言葉があったら、辞典・事典ではなく、インターネットを使えば、大抵の疑問は解決できるのだ。著者も、「WWW全体が巨大な百科事典になっている」と述べている。

 ただし、自分にとって有益な情報を見つける為のコツを、身につけなければならない。著者も、「インターネットには、いまでもジャンク(がらくた)情報が多い(むしろ、増加したというべきだ)。しかし、その反面において、非常に重要な情報発信も増えてきたのである」と述べている。特に感銘を受けたのは、米国の政治学者コヘインとナイが、「フォーリン・アフェアズ」の論文の中で述べたもので、「大量の情報が流されるインターネット時代においては、雑音と重要な情報を区別できる者が力を得る」と、本書で紹介している。まずは、検索エンジンの特徴を、掴むことが必要である。本書では、いくつかの検索エンジンを紹介しながら、サイトによって異なる検索エンジンの違いを説明している。ただし、検索エンジンは、便利である反面、一方では、融通のきかない一面も持ち合わせている。私も数ある検索エンジンを使いこなすようになるまでには、随分と振り回された。本書では、検索エンジンの非効率性についても触れているので、検索エンジンの使い方を知るには、もってこいの一冊である。

 また、私の場合は、インターネットを新聞代わりにも使っている。インターネットでは、いたるページで、最新のニュースをリアルタイムに更新している。インターネットを使えば、新聞やテレビよりも早く、情報を入手することが出来る。著者は、ニュースだけでなく、資料・統計・人物データ・趣味に至るまで、インターネットを利用することで、知りたい情報を手に入れることが出来ることを説明している。私も、過去に発売された本やマンガを調べる為に、インターネットは欠かせないものとなった。これまでに、インターネットを使って探し当てた本はかなりの冊数になる。最近の映画の話題についても、インターネットならば、映画を中心に扱ったホームページもあれば、その映画の公式ホームページもあり、私自身、レビューを書くのには困らないし、また、その方面では、かなりの通になれる。

 第1部の最後では、インターネットと産業との関わりについて述べられている。最近では、SOHOといって、インターネットなどのネットワーク環境さえ整備されれば、在宅勤務も可能な時代となった。近年では、上場企業のほとんどが、ネットワークと密接に関連する企業である。アイデアさえあれば、世界に名を馳せるチャンスが、インターネットにはある。私の勤める会社でも、ホームページを開設するまでには至ったが、更に躍進して、サッシ業界だけにとらわれず、ネットワーク業界にも、進出してみてはどうであろうか?

 第2部では、インターネット情報源ということで、新聞や雑誌、テレビなどのニュースメディアサイトをはじめ、有益な情報を発信しているサイトを紹介したガイドになっている。ただし、このガイドには、URLは記載されいていない。「野口悠紀雄 Online」のURLさえ覚えておけば、そのホームページから、本書で紹介されているサイトに、簡単にアクセスできるからである。また、先ほど挙げた、検索エンジンについても、この「野口悠紀雄 Online」では、複数の検索エンジンを使えるようにしている。このホームページさえ知っていれば、後は困ることないよ、と言わんばかりである。一度、中を覗いてみてはいかがであろうか?

 最後に、本書は、あくまでインターネットを活用する為の一冊である。ホームページを自作することについても、多少は述べられているが、内容としては不充分である。そして、インターネット情報源の内容からみても、あくまでビジネスマン向きである。若い世代を惹きつけるサイトは、あまり紹介されていないので、年代層は限定されるかもしれない。次には学生向きとか、若い世代向けのものや、ホームページを自作する人たちへの一冊になるような本を出してもらいたいと願うばかりである。