《2000年02月20日 〜 2000年02月26日》


【20数年振りに北海道へ】

 2月24日〜25日の一泊二日の日程で、北海道へ出張に行ってきました。目的は、私の勤める工場で生産していた製品を、北海道は北広島市にある工場へ移管することになり、その生産を指令するにあたって必要なシステムを、インストールすることです。21日〜23日は、朝帰りも含め、現地でトラブルを起こさないよう、システムのカスタマイズやテストをおこない、必要なものは、全て、CD−Rにライティングして、出張に望みました。

 北海道といいますと、札幌には、幼少期に住んでいたこともあり、微かにその記憶も残っています。北海道から富山県に越してきたのは、4〜5歳の頃なので、北海道の大地を踏みしめるのは、かれこれ20数年振りということになります。飛行機に乗るのも、今回が初めてではありません。これも微かな記憶ですが、北海道へ行くときに乗ったことがあるような気が致します。それだけに、北海道に行くというのは、私にとって、不思議な感覚を与えるのでした。

 そして、出張するにあたって、楽しみも増えました。それは、インターネットを通じて知り合った、ミラ・ジョヴォさんと、gooseさんに会えることです。これまでは、ホームページのBBSで、お互いに書き込みすることはあっても、直接、会話を楽しむまでには至りませんでした。富山県と北海道では、直線距離にしても850〜900キロメートルもあり、そう簡単に会える距離ではありません。この出張が無かったら、一生、会えなかったのかもしれないのです。そう考えますと、始めは嫌がっていたこの出張も、感謝感激するようになりました。

 さて、24日の富山県は、生憎の雪模様で、全日空377便は、天候の回復を待つ為に、5分だけ遅れました。11時15分に出発し、いよいよテイクオフです。機内アナウンスや客室乗務員も、私には殆ど初めての体験だけに、ある種の緊張感を覚えました。そして、離陸するための助走が始まると、それは興奮へと変わりました。大きな圧力が、体全体にかかってきます。そして、宙に浮いた瞬間の感覚は、あのエレベータの浮遊感とは比べ物になりませんでした。ふと目を離した隙に、家や車は、みるみる小さくなっていき、ついには見えなくなりました。機体が厚い雲の中に覆れ、しばらくは真っ白でした。

 それでも、377便は上昇を止めることなく、ようやく北陸の大地に雪を降らせている雲の上に姿を表すと、地上では想像もつかない、雲海と青空が広がっていました。太陽の光がまぶしく窓から差し込んでくるのに、大変な違和感とギャップを感じました。つい数分前までは、どんよりとした暗い雰囲気に包まれていたというのに、あっという間に、その気持ちをなぎ払ってくれたのです。私は、1時間25分のフライトを、読書で過ごすことは出来ませんでした。それは、子供のように、ずっと窓から別世界を覗きこんでいました。しばらくして、客室乗務員に、「飲み物はいかがですか?」と聞かれ、コーヒーを頼むと、それを片手に、いつまでも、雲海と青空を、好奇心の目で見入っていました。しばらく体験することはないだろう、と考えると、この景色から目を逸らすのは、罰当たりと感じずにはいられなかったのです。

 むしろ、その贅沢なひとときも、まだ飽き止まない内に、377便は、北海道の大地に姿を表しました。新千歳空港の天候は晴れで、着陸する前から、民家や工場をはっきりと肉眼で確認することが出来ました。もともと富山県にも雪が積もっており、雪には見慣れていたので、北海道の大地に積もっている雪を見ても、何ら不思議に思うことはありませんでした。ただ、富山県と違い、明らかに広々としていて、自然と土地の裕福さを感じずにはいられませんでした。そして、無事、377便は、新千歳空港に着陸しました。時計の針は、12時40分を指し示していました。1時間30分前までは、富山県にいたというのに…。

 さて、休む間もなく、次は千歳線に乗り換えて、札幌方面へと向かい、北広島市を目指します。この間、快速エアポートという電車に乗車していたのは、約20分。13時5分に出発し、13時25分に到着しました。駅の西口で待っていると、迎えの方が来て、車で10分〜15分走行したところで、目的の工場に着きました。ここで失敗だと思ったのは、昼食をとらなかったことです。さすがに「昼食、まだなんですけど…」とは言えず、朝食・昼食も抜きで、仕事する羽目になってしまいました。気をきかして、「お昼はまだですか?」と聞いてくれてもいいのでは…? こんなことであれば、新千歳空港で何か食べておけば良かったと後悔する次第です。

 仕事は、ほとんど順調でした。CD−Rにライティングしたシステムを、DOS/V機に移し、一つ一つ動作確認をおこないました。18時迄に、システムの一連の説明も終え、翌日、本社(富山)から、北広島市にあるコンピュータを、遠隔操作(リモートコントロール)するテストをおこなうのみとなりました。この日にやっておくべきことを、全部済ませますと、今度は札幌支店の方に、宿泊先へと送ってもらいました。

【初めてのオフ会に参加】

 18時40分、札幌市厚別区にあるシェラトンホテル札幌にて、チェックイン。ここは、JR新札幌駅から歩いて2分足らずのところにあり、地上32階もあるこのホテルは、この辺りでは、最も高い建物なので、一目瞭然でした。早速、カウンターで宿泊券を提出すると、「お一人様ですよね?」と確認してきたので、特に気にすることもなく「はい」と返事すると、「1509」と書かれたカードキーを渡されました。15階なら、夜景も望めるだろうと、部屋に入った途端、カウンターで、先程、人数をわざわざ確認してきた意味を把握しました。なんと、ベッドが2つもあるではありませんか! 何故、ツインベッドになってしまったのかは分かりませんが、私一人で夜を過ごすには、あまりにも広すぎます。でも、ツインベッドだからといって、困ることもありませんし、気を取りなおして、早速、外出する支度を準備すると、実際に外の空気を吸ってみたかったこともあり、ぶらぶらと周辺を歩き回りました。

 まずは、シェラトンホテルを一周してみました。新札幌駅、アークシティホテル、マクドナルド、ローソン等が見えました。周辺の雪質も、富山県とは違って、サラサラしていました。例えるなら綿菓子のようなもので、一方の富山県はシャーベットというところでしょうか? ローソンの入り口に公衆電話を見つけると、早速、ミラ姉さんに電話しました。それから10分も経たない内に、シェラトンホテルのロビーに、彼女が迎えにきました。

 彼女の車に乗り込むと、後部座席には、gooseさんも同席していました。朝昼食を取り損ねた私は、早速、夕食の話題となり、雪道をものともせぬ彼女のドライビング(笑)によって、東区にある、ハーフダイム(HALF DIME)札幌新道店という、ローストビーフ系を中心としたレストランへと誘っていただきました。そして、私はここで、大きなカルチャーショックを受けることになるのです。

 まず、入り口からカウンターまでの坑道のような通路までは、それ程、気に留めることはありませんでした。ところが、いざ入店すると、店員は、皆、異なるコスチュームを着込んでいたのです。ピーターパン、白雪姫、森の小人、魔女、警察官…。テーブルに案内されるときも、「いらっしゃいませぇ。今日はわたくし○○○が、お席までご案内いたしま〜す」(※○○○には、ピーターパンとか白雪姫とか、その店員のキャラクター名が入ります。でも、あまりの出来事に、案内したキャラクターが誰だったのか、記憶には残りませんでした) 席についてからも、今度は別のキャラクターが、「いらっしゃいませぇ。座席係の○○○です。ご注文が決まりましたらお呼びください」といって、メニューと水を置いて去っていくのです…。凄い、恥ずかしがることなく、キャラクターになりきっている。むしろ、私の方が恥ずかしくなりました。他にも、自由の女神だとか、エンジェルなんかもいるらしい…。驚く私の姿を見て、笑いをかみ殺している、ミラ姉さんとgooseさん…。うぅ、してやられたぁ(笑) どうやら、ハーフダイムは、「びっくりドンキー」と同じ、アレフ系列のレストランのようです。でも、コスプレレストランに入ったのは、初めてのことです(そう滅多に見かけるものでもありませんが)。

 カルチャーショックから脱するが出来ないまま、注文を「ラムロインロースト和風ソース」に決めると、終始、店員とは、ほとんど顔を合わせないようにしました。本当は、その行為自体、店員には失礼なことなのですが、慣れない私としては、目のやり場に困ってしまいました。もう、2〜3回は来店しないと…。

 注文してから、ハーフダイムを後にする迄の約3時間、ずっと食事と会話を楽しませてもらいました。映画の話題、本やゲームの話題、方言の話題、ホームページを作るにあたっての苦労話等など。富山県で、ホームページを開設している女性を知らない私としては、本当に新鮮でした。結構、コンピュータ用語とか難しい話題に対しても応答があって、とても嬉しかったです。富山県に戻ったら、地元でホームページを開設している人と仲良くなって、オフ会を開きたい、と思うのも、私にとっては自然の成り行きでした。

 さて、オフ会について補足をしておきます。普段、eメール、チャット、BBS(掲示板)のように、インターネットを通じてコミュニケーションをとるオンラインに対し、実際にネット仲間同志で会うことを、オフラインパーティとか、オフ会と称します。私は、北海道から宮崎県ぐらいまでに、インターネットを通じて知り合った友達が数名いますが、実際に会ったのは、ミラ姉さんとgooseさんが初めてです。つまり、私にとっては、初めてのオフ会なのです。今後は、富山県や北陸地方のネット仲間を作って、地元でオフ会を開けるようになればいいと願っています。

 23時頃、場所を、ゲーセン・カラオケ・ビリヤード場の複合店「キャッツアイ新札幌店」へと移しました。ここは、宿泊先のシェラトンホテルからも近く、駐車場から、そのイメージシンボルを確認できました。入場すると、早速、目に入ったのは、コナミのリズムゲーム、「キーボードマニア」。筐体には、48鍵のキーボードがついており、早速、プレイしてみると、めちゃムズい。キーの数が多い分、ビートマニアよりも難しいのでは? ところが、私の前にプレイしていた人は、片手で容易く弾いているのです。う〜む。プレステで専用キーボード付きで発売されたら、早速、練習するしかない!

 次に注目したのは、「タイピング・オブ・ザ・デッド」。過去のダイアリーでも紹介した通り、タイピングには、多少、自信のある私。ミラ姉さんと一緒にトライしてみようと考えましたが、それは断念せざるを得ませんでした。何故ならば、そのとき、プレイしていた女性に圧倒されてしまったからなのです。なんと彼女は、一見、ゲーセンには相応しくない可愛げな女の子。ところが、キーボードを一切、見ることなく、画面を注視し、次から次へと出てくる文章を、ブラインドタッチで、早々と入力していくのです! コンピュータを扱う職業に就いているとしか考えられない素早さでタイピングしているその様は、周囲の観客と共に、ただただ唖然とするばかり。とても、その後、プレイする気にはなれませんでした。これまでは、ブラインドタッチには興味の無かった私も、本格的に覚えなければならないと、本末転倒さながらの思いを抱いたのでした。

 この後、カラオケで約1時間余り熱唱しました。帰りは車の心配もないので(ミラ姉さん、ありがとう)、ジン・フィズを注文しました。また、記念にデジカメで撮影もしました。本当はプリクラもするつもりだったのですが、この頃、いつの間にか天候は悪化し、外は吹雪でした。ミラ姉さんのDDRのステップさばきを堪能させてもらった後は、プリクラを撮るのも忘れ、キャッツアイを後にしてしまいました。その後、シェラトンホテルまで送ってもらい、名残惜しくも別れの挨拶を交わしました。ミラ姉さん、gooseさん、この度は、私の為に、お付き合いしてくださって、本当にありがとうございました。1509号室に再び戻ったのは、24時45分。日記をつけて、2つあるうちの窓側のベッドを選び、就寝しました。

【リモートコントロールに思わず苦労する】

 翌日の25日、天候は雪。7時に起床した私は、まず、入浴し、その後、出発の準備を整えると、9時20分にチェックアウトしました。既にロビーには出迎えの方が待機されていました。今日は、本社から北広島にあるパソコンをリモートコントロール(遠隔操作)するにあたっての設定とテストをおこなう予定です。

 10時に、本社のふしきさんに電話を入れ、早速、作業に取り掛かりました。当初、午前中には終わるだろうと考えていた一連の作業も、その予想を裏切り、うまく北広島のPCに接続することが出来ません。この工場はプロバイダーとの契約で、DNSとして、IPアドレスを割り当てられているのにも関わらず、うまく辿り着けないのです。どうやら、DNSまでは辿り着いても、その配下にあるLANを認識できないことが分かりました。

 そうなると今度は、モデムを準備してもらい、システムを導入したPCにそれを取りつけて、ターミナルアダプタ経由で接続できるかどうかを、確認することにしました。いろいろと苦労はしたものの、なんとか本社から北広島のパソコンのハードディスクを、ネットワークドライブとして共有することは出来るようになりました。それでも、遠隔操作は出来ません。

 そろそろ、富山に戻る時間も差し迫り、ここまでかと諦めていた頃、リモートコントロールするにあたって、ダイヤルアップ接続のプロトコルを設定しなければいけないことが判明。早速、プロトコルにIPアドレスを割り当て、リトライしてみると、レスポンスは最悪でしたが、なんとか遠隔操作は出来るようになりました。ただ、本社からの操作が、PCへ反映するのに、数分、待たされることになり、殆ど、使い物になりません。それでも、トラブル時に、ここまで往来する手間を考えれば、リモートコントロールせずとも、静止画としてエラー内容を確認する手立ては出来たわけです。ふしきさんを始め、本社のご協力に、とても感謝します。特に、ふしきさんには、風邪の悪化で、体調もすぐれない中、対応していただき、本当にありがとうございました。

【さようなら、北海道】

 結局、ラーメンを食べる機会も与えられぬまま、帰来することになりました。あぁ、この先、もう北海道に行くことは無いかもしれないというのに…。ましてや、24日も25日も昼食抜きで仕事をしていただけに、後悔はより強く募りました。「北広島の工場の方も、出前かコンビニ弁当でもとってくれれば良かったのに…」と、そう思わざるを得ませんでした。何故、外食にこだわるのでしょうか? とてもそんな余裕は無かったというのに…。

 しかし、それを非難するわけにはいきません。この日、札幌では、悪天候が続いており、新千歳空港行きの電車は、ほとんど運行していない状態らしく、工場の方に、新千歳空港まで、わざわざ送ってもらったからなのです。それに比べれば、昼食のことなど、取るに足りません。15時半に、北広島の工場を後にし、新千歳空港に到着したのは、16時半頃。会社のお土産を買って、搭乗手続きを済ませると、17時10分まで待合室にて、この2日間の出来事に思いを馳せました。2週間前、急遽、出張することになってしまったこと。14日の月曜日の夕方まで、こうなることを予想することは出来ませんでした。そう考えると、とても運命的であったと思わざるを得ません。搭乗のアナウンスがかかると、3番ゲートより、全日空378便に乗り込みました。空が刻々と濃い青に変化するのを窓から眺めつつ、飛行機は北海道を飛び立ちました。17時20分頃のことでした。

 378便は、767−300型機。マッハ0.8というスピードから単純計算しますと、時速954.6キロメートル。272席もあるとはいえ、殆ど乗客は窓側で埋め尽され、中央の座席を利用している人はいませんでした。窓から空を眺めても、日は落ちて、目を楽しませるものは何もありません。ただ、1時間20分後には、私のよく知る場所へと辿り着き、この時点で不安と緊張から解き放たれ、現実の世界へと引き戻されることだけを考えていました。何よりも印象的だったのは、着陸前の富山市の夜景と滑走路へと誘う照明でした。富山市がこんなにも美しいと感じたのは、初めてのことでした。この後、27日の日曜日に、工場から数名、北海道へ出立し、北広島市へ製品の試作や立会いを行う手はずとなっていますが、29日の火曜日の18時50分頃に、私と同じ思いを彼らは抱くことになるのでしょうか? 378便は18時55分にランディングし、と同時に、感傷にも別れを告げたのでした。

【リンクを2件追加】

 リンクを新たに2件、追加致しました。今回、北海道のオフ会で知り合った、ミラ姉さんとgooseさんのホームページです。詳しくは、【Link】のページをご覧下さい。